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デジタル時代のコミュニケーション監視 -- 導入

ガス・ホセイン( プライバシー・インターナショナル)

人 を人たらしめるものの一つとして、人間同士のコミュニケートする度合いをあげることができる。私たちは、自分の要求、欲望、興味、恐れ、そして苦悩を正確 に表現するために、絵や身振り、話し言葉、書き言葉を生み出した。会話は手紙に、飛脚は郵便制度につながり、そして電信、電話、携帯、インターネットへと 発展した。今や、個人的な考えや個人の関心の伝達でさえコミュニケーション・メディアが介在する。さらに、政府や企業の野心の増大が、新たな暴露や技術革 新によって明らかになった。それらは、私たち人間の存在の核心をなすコミュニケーション行為を追跡し、監視し、分析し、さらに収益を得ようとさえしている のである。現代社会における人間の自治を守るためには、私たち市民がコミュニケーション監視を統治することが不可欠である。

社 会的および技術的進歩は、監視の能力および広範な普及を拡大した。第一に、私たちが今日行うほとんどすべてのことはコミュニケーション行為であり、それは ディジタルで観察および記録することができ、最も初期の段階にさかのぼって、あるいはリアル・タイムに記録され、分析される。私たちの身振りさえもサービ ス・プロバイダーによって記録される。

第二に、部屋の中の友達同士のその場限り の会話とは異なり、今やほとんどすべてのコミュニケーションは収集され、分析され、保持され、そして金銭化されている可能性がある。国中のあらゆるコミュ ニケーションを捕捉することはすでに可能である。それは、全国の家庭内やオフィス、公会堂、公共の広場、カフェ、パブ、レストランにおけるすべての私的、 公的な会話を立ち聞きすることと同等のものである。

第三に、すべてのコミュニケーションは、ますます機微になるメタデータ(コミュニケーションと関係するデータ)を生成する。それらは捕捉され、記録され、アクセス可能にされ、また容疑者と標的のリストを引き出したり私たちの人間関係を把握するために利用される。

第四に、ほぼすべての今日のコミュニケーションは、郵便局、携帯電話会社、検索エンジンおよび海底ケーブル会社などの第三者を介する。彼らは仕事は国家に代わって監視業務を課されるだろう。

第五に、この監視はすべて秘密裡に行うことができる。封筒の糊を丁寧にはがす作業は、今やメッセージをネットワーク中の様々なポイントで捕捉し、密かに複製をとる作業に置き換えられた。

コミュニケーションや私たちの生活のこれらの構造変化のために、プライバシーを踏みにじる政府の能力を統治する必要性が緊急に浮上してきた。

私たちの携帯電話は定期的に近くの基地局に接続するので、どこにいようと私たちの居場所を突きとめることは可能である。企業がプロファイリングのためのデータ・マイニングやビッグ・データの分析を行い、政府はその記録にアクセスしようとする。

ネッ トサーフィン(現実世界では大通りや広場を歩き回ることに匹敵すること)は、現在は分析業者、そしてまた政府によって監視される。そのいずれもが私たちの 関心と欲望をぜひとも理解したいと思っている。したがって、公的なイベントの参加者やある区域にいるすべての人を識別するには、最寄りのモバイル基地局の 記録にアクセスするか、警察が自ら運用する基地局を設置するだけでよい。身分証明書のチェックは、秘密裏の自動化された装置スキャナの配備に取って代わら れるだろう。

以前は人々の仲間を識別するためには秘密警察や密告者を必要とした が、今では政府は私たちのチャット、ショート・メッセージ、SNS、電子メール、そしてもちろん音声のコミュニケーションのメタ・データを監視して定期的 に人間関係のリストを生成してやり取りを追跡することができる。これは、さらに前もって未知の容疑者あるいは標的のリストを生成するのに役立つ。ツイッ ター上で誰をフォローしているかやFacebook の上の友人の友人に誰がいるかによって、共犯者を査定することもあり得る。

また、私たちの友人や他の人間関係のネットワークに潜入し、屋内を探索したり私たちの書類を捜査するスパイを訓練する前に、政府はただ私たちのコンピューターや携帯電話から情報を漏洩させることもできるし、私たちのカメラやマイクをこっそり

起動させて私たちのすべての往復文書、書類、画像や映像、さらにパスワードさえもアクセスすることができるのである。

監 視技術の歴史に前例がなく、能力の劇的な変化にもかかわらず、政府は、日々新しく、より大きな力を確立しようと努力し、あるいは彼らが能力を失っていると 不満を訴えたり、「先行きが暗い」などと言ったりする。しかし、現在は監視の黄金時代である。それは、技術と人権を理解することに抵抗する政治家が野心的 な喋報機関や警察を十分に規制しないことによって可能になる。さらに新しい技術を開発し世界中の政府に販売する監視産業がそれに拍車をかける。また、それ は、私たちの通信インフラを安全にせず、政府の要求に黙従し、ひどい政策に抵抗しない会社によって可能になる。それはさらに私たちの友達、家族および同僚 との関係から生成され蓄積された情報をから利益を引き出すことを可能にする。

私 たちは、これがコミュニケーション・プライバシーにのみ関係していると考えてはならない。近代社会ではほとんどすべてのことがコミュニケーションを含んで いるので、コミュニケーション監視はそれ自体、監視されるもの、つまり個人、グループ、あるいは社会全体に対して監視する側に今まで見たことのない力を与 えることができる。このために、監視についての誠実な討論は、法の支配への疑問を呈することになる。たとえば、「ある機関や資格はトーテム原理の上に位置 するものだろうか」、現代の統治については、「私たちの既存の統治構造は、ますます相互に連結した社会の課題に対応できるだろうか」、あるいは国家安全保 障の話になると、「一般大衆にわかりやすい明確な線引きができるだろうか」といった問いである。

こ れらの問いのどれに対しても、私たちはかろうじて表面をこすることしかできなかった。またこれらのすべての中で、プライバシーの境界がさらに検査され、罪 なき人の情報がますます暴露され、監視する権力がますますその力と範囲を増大させていく未来に対して私たちは闘おうとしている。

そ れにもかかわらず、私は、公開の民主的な討論を行えば、社会はそのような力を規制しようとするものだと信じる。難しいのは、その討論が私たちの政府に強要 されるに違いないということである。幸いに、私たちは、各国政府に新しい能力を売る監視産業界を調査したエドワード・スノーデンの驚くべき貢献のおかげ で、現在それらの秘密能力のうちのいくつかの証拠を持っている。私たちは現在、この知識に基づいて行動しなければならない。私たちは監督官庁に、対象業界 の弱みに気づいていることを確認するために、彼らとかけあわなければならない。

私 たちは法曹界とも連絡を取り、監視が司法制度と法の支配にも及ぶ危険性を理解してもらわなければならない。私たちはテクノロジー・コミュニティとも、彼ら がより安全で、プライバシーを増強するシステムを構築することを励ますよう、もっと協調する必要がある。メディアと市民社会組織は、監視がジャーナリスト と社会変革活動家をどのようにターゲットにするかに意識的になる必要がある。私たちは産業界とも交渉しなければならない。技術とサービスの設計に際して、 顧客に提供する自己決定の範囲を狭めることにより他者の悪用にさらすような規格を選択することの危険性を理解してもらわなければならない。また、国会議員 と政策立案者に、政府機関の統制と市民のプライバシーの権利の保護について実質的な役割を果たすことを私たちが期待していることを知らせなければならな い。つまり、形式的承認は統制の形式として認められていないはずであるが、しかし、公衆は委員会と裁判所がまさにそのように活動する姿に直面しているので ある。

結局、そのような力を規制する方法についての討論には、公衆の立ち合いが 必要である。社会全体にとって最大の利益を代表するためにはその構成員に頼ることになる。これらの当惑させる、また根本的な問いに対する答えは私たちの内 にある。私たち自身以外の他の誰も、私たちの必要と期待を理解することを政府に強いることはしないだろう。恐らく、最も重要な規制の役割は、監視人を監視 する人々が自分たちが孤立していないことを知っていることを公衆が保証することである。透明性はこのすべての核となる目標である。活動に従事している情報 局から、その活動を認可する裁判所、またその過程を監督する委員会に至るまで、すべての組織体の全工程への警戒は放棄してはならない。この積み重なった構 造の頂上に、公衆がいる。鷹のように監督し、声高く判決を下す。